世界でいちばん、大キライ。
新たな一歩
*
「はぁっはぁっ……ちっ」
全速力で走ったのなんていつ振りだろうか。そう頭の隅で一瞬考えたが、ソッジョルノが目に飛び込んできた瞬間に一気に余裕がなくなった。
店内の明かりはほぼ消え、辛うじて奥の方からぼんやりと淡い光が漏れているのがわかる。
そこには人の気配がする気がして、久志は足を止めて呼吸を整えながら考える。
(まだ中にいるか……? だったら、正面からでも裏からでも入るべきか、それともこのまま待ってみるか)
ここまできても、優柔不断な久志が迷っていると、フッと最後の明かりさえも消えてしまう。
顔を上げて慌てて裏口の方へ向かってみると、鍵を閉めている了の姿しか見えない。
辺りを見回しても桃花は見当たらなくて、茫然とその場に立ち尽くす。
自分の存在に気付かずにそのまま去ってしまった了を見つめていると、ジーンズのポケットの中にある携帯が振動した。
「はい。曽我部です」
誰もいない店を横目に、小さな溜め息と同時に頭を垂れて電話に出る。
「はぁっはぁっ……ちっ」
全速力で走ったのなんていつ振りだろうか。そう頭の隅で一瞬考えたが、ソッジョルノが目に飛び込んできた瞬間に一気に余裕がなくなった。
店内の明かりはほぼ消え、辛うじて奥の方からぼんやりと淡い光が漏れているのがわかる。
そこには人の気配がする気がして、久志は足を止めて呼吸を整えながら考える。
(まだ中にいるか……? だったら、正面からでも裏からでも入るべきか、それともこのまま待ってみるか)
ここまできても、優柔不断な久志が迷っていると、フッと最後の明かりさえも消えてしまう。
顔を上げて慌てて裏口の方へ向かってみると、鍵を閉めている了の姿しか見えない。
辺りを見回しても桃花は見当たらなくて、茫然とその場に立ち尽くす。
自分の存在に気付かずにそのまま去ってしまった了を見つめていると、ジーンズのポケットの中にある携帯が振動した。
「はい。曽我部です」
誰もいない店を横目に、小さな溜め息と同時に頭を垂れて電話に出る。