世界でいちばん、大キライ。
世界中のどこだって
*
半月後。
桃花は約ひと月前にジョシュアを見送った空港に、見送られる側として立っていた。
あれから、金曜日は必ず。それ以外にも、立ち寄れる時には立ち寄って、桃花の仕事が終わった後にふたりの時間を過ごしたこともあった。
フライトの時間は午前10時45分。
その時間で、しかも平日となれば、麻美はもちろん、久志も見送りになどこれる時間ではない。
見送りは、またもや月イチの定休日を当ててきてくれた了と、桃花の母親。
『シアトル行っても、永遠の別れじゃないし。会いに行くから』
昨夜、久志と最後の逢瀬となった時に、静かに微笑んだ久志にそう言われた。
『会いに行く』なんて、簡単に出来るほどの距離じゃないし、仕事をしている社会人だし時間もない。
そんなことは桃花も重々承知で、その場はただ素直にコクリと頷くだけだった。
現実に会いに来ることが叶わなくても、そんなふうに思い、言ってくれただけでも幸せな気持ちになったから。
「そろそろ時間かな。向こうでジョシュが首を長くしてまってるはずだから」
「約9時間後だったかしら? まぁ、無事着いて落ち着いたら連絡しなさい」
笑顔で見送る了と、意外と肝の座っている母親のひとことに目を細めて首を縦に振る。
「店長、本当にありがとうございました。私、頑張ります。お母さんも、身体気を付けてね」
あまり長々と話し過ぎると、足が動かなくなってしまいそうで。
それと同時に感極まって涙も流してしまいそうだったために、桃花はあっさりとした挨拶だけをして、くるりと背を向けた。
「桃花ちゃん」
半月後。
桃花は約ひと月前にジョシュアを見送った空港に、見送られる側として立っていた。
あれから、金曜日は必ず。それ以外にも、立ち寄れる時には立ち寄って、桃花の仕事が終わった後にふたりの時間を過ごしたこともあった。
フライトの時間は午前10時45分。
その時間で、しかも平日となれば、麻美はもちろん、久志も見送りになどこれる時間ではない。
見送りは、またもや月イチの定休日を当ててきてくれた了と、桃花の母親。
『シアトル行っても、永遠の別れじゃないし。会いに行くから』
昨夜、久志と最後の逢瀬となった時に、静かに微笑んだ久志にそう言われた。
『会いに行く』なんて、簡単に出来るほどの距離じゃないし、仕事をしている社会人だし時間もない。
そんなことは桃花も重々承知で、その場はただ素直にコクリと頷くだけだった。
現実に会いに来ることが叶わなくても、そんなふうに思い、言ってくれただけでも幸せな気持ちになったから。
「そろそろ時間かな。向こうでジョシュが首を長くしてまってるはずだから」
「約9時間後だったかしら? まぁ、無事着いて落ち着いたら連絡しなさい」
笑顔で見送る了と、意外と肝の座っている母親のひとことに目を細めて首を縦に振る。
「店長、本当にありがとうございました。私、頑張ります。お母さんも、身体気を付けてね」
あまり長々と話し過ぎると、足が動かなくなってしまいそうで。
それと同時に感極まって涙も流してしまいそうだったために、桃花はあっさりとした挨拶だけをして、くるりと背を向けた。
「桃花ちゃん」