世界でいちばん、大キライ。
*
「ね、ねぇ? ホントにいいの……? まずくない?」
「なんで? それとも、桃花さん、あたしに危害加える予定でもあった?」
「なっ、ないよ、そんなの!!」
おどおどとしながら後ろを歩く桃花につらっと返す麻美。
桃花が挙動不審になるのもそのはず。
カフェを出て桃花が送り届けた流れで、麻美が突然桃花を家に誘ったからだ。
「じゃあ問題ないじゃない。〝女子の友達限定〟。〝部屋を詮索しないこと〟で許されてるし。っていっても、ココには誰も連れてきたことはないけどね」
フッと自嘲するように薄ら笑うと、靴を脱いで振り返る。
しばらく視線を交錯させたのち、桃花が深い溜め息をついて、麻美の靴を揃えた。
「あー……また忘れてた」
「ふふ。久志さん、そんなにいつも細かいの?」
「んーどうかな。決まったものだけは、って感じ?」
久志が留守の間に部屋に上がることは躊躇われたが、麻美の誘いをそのまま受けることに決めた。
桃花も靴を脱ぎ、麻美の靴の横に綺麗に並べると「おじゃまします」と口にして麻美について行った。
リビングに案内されると、そこはシンプルな家具に囲まれた綺麗な空間。
ソファとテレビ。二人用の小さめのダイニングテーブルがあるくらいで、他は大きなものは置かれていない。
「綺麗……うちなんて、見せられないよ」
「キレイ好きっていうよりは、なんにも興味ないカンジ。だからモノも増えないんだよ」
麻美がいつものようにリュックをソファに降ろすと、キッチンに入って手を洗う。
桃花は無意識に久志の日常を感じ取るように、ゆっくりとその場で見回していた。
「桃花さんもココ使っていーよ」
「あ、うん……」
促されるがまま、キッチンへと足を踏み入れ手を洗う。
何気に視線を横にずらしてみると、調味料が並べられ、鍋やフライパン、やかんが置かれたままだった。
(あ、ほんとに料理するんだ)
前に出掛けたときの話題を思い出し、久志の言葉に嘘はないのだと心の中で笑ってしまう。
きゅ、と水を止めると、手をハンカチで拭きながら思いついたように言う。
「ね、ねぇ? ホントにいいの……? まずくない?」
「なんで? それとも、桃花さん、あたしに危害加える予定でもあった?」
「なっ、ないよ、そんなの!!」
おどおどとしながら後ろを歩く桃花につらっと返す麻美。
桃花が挙動不審になるのもそのはず。
カフェを出て桃花が送り届けた流れで、麻美が突然桃花を家に誘ったからだ。
「じゃあ問題ないじゃない。〝女子の友達限定〟。〝部屋を詮索しないこと〟で許されてるし。っていっても、ココには誰も連れてきたことはないけどね」
フッと自嘲するように薄ら笑うと、靴を脱いで振り返る。
しばらく視線を交錯させたのち、桃花が深い溜め息をついて、麻美の靴を揃えた。
「あー……また忘れてた」
「ふふ。久志さん、そんなにいつも細かいの?」
「んーどうかな。決まったものだけは、って感じ?」
久志が留守の間に部屋に上がることは躊躇われたが、麻美の誘いをそのまま受けることに決めた。
桃花も靴を脱ぎ、麻美の靴の横に綺麗に並べると「おじゃまします」と口にして麻美について行った。
リビングに案内されると、そこはシンプルな家具に囲まれた綺麗な空間。
ソファとテレビ。二人用の小さめのダイニングテーブルがあるくらいで、他は大きなものは置かれていない。
「綺麗……うちなんて、見せられないよ」
「キレイ好きっていうよりは、なんにも興味ないカンジ。だからモノも増えないんだよ」
麻美がいつものようにリュックをソファに降ろすと、キッチンに入って手を洗う。
桃花は無意識に久志の日常を感じ取るように、ゆっくりとその場で見回していた。
「桃花さんもココ使っていーよ」
「あ、うん……」
促されるがまま、キッチンへと足を踏み入れ手を洗う。
何気に視線を横にずらしてみると、調味料が並べられ、鍋やフライパン、やかんが置かれたままだった。
(あ、ほんとに料理するんだ)
前に出掛けたときの話題を思い出し、久志の言葉に嘘はないのだと心の中で笑ってしまう。
きゅ、と水を止めると、手をハンカチで拭きながら思いついたように言う。