櫻の王子と雪の騎士 Ⅰ
「やっだなぁ...修学旅行...」
今、絶賛問題なのはこれだ。
どうやって乗り切ろう。
ルミは正直なところ、同級生、特に女子に嫌われていた。
下駄箱にゴミや画鋲が入れられたりと古臭いものから始まり、教科書や体操着などの紛失、水浸しになった机なんかは可愛いもの。
殴られたり蹴られたり、体育倉庫に監禁されたり、変なもの飲まされたり。水もぶっかけられた。
定番中の定番。
よく懲りずにやれると関心すらする。
色々されてきたが、ルミは堪えることなく学校に行き続けた。
『運命に抗わない』
これはルミの性格というか、生きていく上での唯一の教訓というか。
『例えそれが泣いて逃げ出したいくらいの苦痛であっても、他人には信じられないような突拍子もない出来事であっても、それが貴女の運命なのであれば抗うことは許されない。思うままにその運命を全うしなさい。』
誰かにそう言われたことがある。
誰に言われたかはもう覚えちゃいない。
勝手に、顔も知らない親からのメッセージかなと思っている。
どうしてそんなことを言われたのか、気が付くとそれは私の心の中にあった。
私の行動はその言葉と共にあると言ってもいいかもしれない。
今だってそう。
生傷は絶えないけど、元々表情が乏しくて無表情でいることが多い私。
別に好きでされてるわけじゃないから嫌に決まっているけど、顔に出ないから何をされても平気な顔してるって勘違いして、余計に突っかかってくるから厄介。
「修学旅行なんか、イジメの絶好の機会じゃないか......」
ああ、うんざりする。
毎回毎回飽きもせずにいじめてくる子たちの相手をするのも正直疲れるんだぞ、と私は言いたい。
誰にって?
決まっているじゃないか。
目の前にいる彼女達にである。