櫻の王子と雪の騎士 Ⅰ









 ***







「ノアっ、もうちょっと速くならない?」



『その後ろの男を落とせば、あと百倍は出るがな!』



「それは無理。どうもならない?」



『なるか!!男が私の上に乗ってるというだけでむしずが走る!!
いち早く降ろせ!!気持ちが悪い!』



「そんなに嫌うことないじゃない...
それより、さっきよりかなり饒舌になったねえ。聞き取りやすい」



『慣れただけだろ
それより少しでも速くして欲しいならその男をさっさと落とせ!!!』



「ムリ。頑張って」






「..................あの、ルミちゃん?」






「はい?オーリィさん」



「ノアはなんて言っているんだ?
俺には聞こえないから、何を言っているのかさっぱり分からないんだが...」



『聴こえないようにしてんだよ、気付けよ
ていうか、気安く名前を呼ぶなバカが』



「ノア、しっ!ちょっと黙って」




「ル、ルミちゃん......」




「あ、大丈夫ですよ、オーリィさん
すぐに王都にも着くみたいですから
ノアのことは気にしないで、ね?
もう少し待っててください」



「えっ、あ、ああ...」



『仕方なくだぞ、仕方なく!
ルミの願いだから聞いたんだ、二度とゴメンだからな!!』



「もう、ノア、ちょっと煩い
オーリィさんは私の命の恩人なの!
それ以上言ったら私、怒るよ?」








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