櫻の王子と雪の騎士 Ⅰ



エンマが小さな体に不釣り合いの仕事をしているのを目にすると、ルミは自然とそれに手を貸す。



本当に手を貸す程度。



それでもそこに彼女の優しさが溢れ出る。



今日は、以前から話に出ていたルミの前いた世界の料理を彼女自身が作ってくれている。



一人暮らしの期間の方が長いルミにとって、家事炊事全般は難なくやれる。



消化器もかなり復活してきたシェイラを思い、栄養価の高い良いものを食べてもらおうと奮闘するルミ。



エプロンをしてキッチンに向かうその姿にシェイラの心はほんのりと温かくなる。



トントントンと、包丁がまな板を叩く音が部屋に響く。



見たこともない料理がだんだんと目の前の机に並べられ、目の前の机を彩っていく。



『これは!このスープは何と言う名前なのですか??』



興味深げにエンマが尋ねる。



「それは、味噌汁っていうのよ
全部和食にしてみたんだけと、お口に合うか......」



どちらかと言えば、欧米の食文化に似ているこの国で、和食は珍しのだろう。



味噌自体は存在していたので作ってみたが、シェイラも興味津々に見つめている。



「いい匂いだなぁー」



そう言うと、早速匙をとり、料理を口に運ぶ。



「!!」



不安げに見つめ



「ど、どうです......?」



おずおずとそう聞くルミに、シェイラは笑顔で答える。



「うんっ!美味いよ、すごく!」



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