Trick and Love
「大体なんでいるの?
放課後に委員会があるから先に帰っててって言ったよね⁇」
「ん。でも忘れてたから」
「え、なにを」
「トリック・オア・トリート」
ぱちぱち。
目を瞬かせた。
今日は10月31日。ハロウィン。
1日中あちこちでキャンディやキャラメルやクッキー、たまに手作りのカップケーキなんかが飛び交っていた。
甘いもの、そんなに好きじゃないのにどうしたのかな。
今日は食べたい気分?
それともイベントだから参加したかった、とか。
うーん、自分で思いついたことだけどなんからしくない。
「えっと、とりあえず欲しいんだよね? 今出す、」
ちゅ、ちゅ、と音がする。
どこから?
────わたしのところから。
まぶた、耳、頬、髪の先。
あちこちにかすめるように唇が寄せられる。
「ひゃ……っえ、なに?
ちょ、や、やめ」
なんでわたし今、キスされてるの……⁉︎