Trick and Love
「お菓子よりイタズラの方がいいと思わない?」
「おおお思わな、」
「でも、僕は思います」
彼は息をするようにゆるりと笑って、わたしは息が止まる。
瑞希の手によって、髪を束ねていたわたしのリボンがしゅるりとほどかれた。
*
瑞希の気が済むまで付き合わされて、足りないものを強く感じる。
わたしには酸素、瑞希には羞恥心。
「も、ムカつく……っ」
「じゃあ、美央もすればいいんじゃない?」
イタズラ、と囁いて笑う。
ほどかれた髪を彼になんども指で梳かれて、ぞわぞわする。
「……トリック・オア・トリート」
余裕の笑みの瑞希にわたしは手を絡めて近づいて、そっと髪に触れて、引き寄せて、それから────、