サンカク関係。
Episode.0
「稲葉さん、こっちです!」
人が行き交うなかで、手を大きくふるももかを視界にとらえる。
早足でそこへ辿り着き、彼女のもとへと体を向ける。
「ももかちゃん、久しぶり」
「お久しぶりです!」
向日葵のように笑う彼女の笑顔は、あの頃とまったく変わっていなかった。
ただやっぱり顔つきはどこか違っていて、丸みを帯びていたはずの目は凛とした女性の瞳へと変わり、口元もどこか色っぽさを帯びていた。
ーーーよかった。あれから、進めたんだな…。
自分で思うのもおかしな話だけれど、思わずにはいられなかった。