ペルシディティ

彼の向かいに座り、頬杖をついても、彼は私に気がつかない。


どうしてこんなにも苦しそうに泣きそうな顔をするのか。どうしてこんなに心惹かれるのか。



私は不意に" 彼 " を知りたくなった。



「なんだか悲しい曲ね。」


彼の内側を見たくて、彼の瞳に移り込むように身を乗り出して言った。


私を見て、肩が飛び上がり、ガタッという音を立てて立ち上がったかと思うと、次の瞬間には私の視界に彼はいなかった。


びっくりした顔のままフリーズする彼をみて笑いが込上げてくる。

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