だーれだ
仕事ですから

だーれだ

はるかはこの春に就職してきた新人看護師。

日々覚えることだらけだ。

仕事と一人暮らしのアパートと往復する毎日。
彼はいない。


アパートは病院から少し離れた高台で、はるかは自転車で通っていた。


もうすぐ梅雨もあけるというのに空は鉛色。今すぐでも降り出しそう。

早く帰らないと…

はるかは自転車を立ち漕ぎし坂を一気に駆け上がろうとした。

坂の途中で自転車に転んだらしぃお婆ちゃんが倒れていた。

かなりの痛みを訴えている。

ケータイで!

誰か助けを呼ぼうにも、どうも携帯電話を家に忘れてきたらしくバッグの中にもない。

この辺りは人通りも少ない。

仕方なく、はるかは家に携帯電話を取りに帰ることにした。

お婆ちゃんごめんね。ちょっと救急車呼ぶから電話かけてくるね!

はるかは自転車を押して坂の上のアパートに帰宅した。

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