brother teacher




聞き慣れ始めた声に反応して、思い切り振り返る。



目の前には開会式ぶりの顔が。





「あ、らき先生!」


「なんだよその不可思議な間は。ラキっていう外人の名前みたいになってるんだけど」


「それは、荒木先生が脅かしたから…!」


「いやいや、声かけただけだからな?勝手に驚いてるの上原だから」


「というか!なんでこんなところにいるんですか」




会えた嬉しさやにやけを隠すために、ついきつい態度を取ってしまう。





「なんでって言われてもなぁ…たまたま?」


「は、はぁ…」


「そういうお前は誰探してたの?」


「え!?別に、誰も探してなんか」


「あーんなにキョロキョロ回り見てたのに」


「ただ、緊張して挙動不審になったっていうか…」


「ああ、永井か」


「誰があんなやつなんか!」


「じゃあ…俺?」


「はっ!?」





思いがけない言葉に本当に挙動不審になってしまう。




「ほーう図星か」


「そ、そんなわけないじゃないですか!自意識過剰もほどほどにしてください!」


「言い方ひどいな!そんなにツンケンしなくてもさぁ」


「こういう性格なんです!」


「じゃあそんな上原に一言」


「はい?」





次の瞬間、視界から先生が消えた。






そして真後ろに先生が。












「俺はお前を探してた」











普段とは違う、少し低めの耳元にかかる声。





ポニーテールをしている私の首元は無防備で、先生の髪の毛がくすぐったく感じた。







< 27 / 31 >

この作品をシェア

pagetop