私の好きな人 私を好きな人
その時、体育館の入り口から、数人の先輩が入ってきた。


その中には、あの『よく笑う人』も入っていた。
先輩たちは、また何かで盛り上がっていた。
確か、ひとつ上の二回生…。
それにしても、盛り上がり方が、やっぱり今日も中学生…。

今日もあの人は、大きな口を開けて、こどもみたいに笑っている。


『ねぇ』

私はストレッチを始めた麻衣をつつく。

『なぁに?』

麻衣は、アキレス腱を伸ばしながら答える。

『あの、爆笑してる人、なんて名前?』

私が聞くと、麻衣は首を伸ばしてその人を見ると、

『あー、確かね…蒼太先輩、速水蒼太先輩』

と教えてくれた。



私は心のデータベースに、
『速水蒼太先輩、よく笑う人。』

と書き込む。


これでようやく、全ての先輩のデータが揃ったわ。

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