私の好きな人 私を好きな人
でも…

私はすぐ自分の考えが甘かったことに気づかされた。


ここの仕事は、見ていた時よりも、ずっとずっとハードだった。

覚えないといけないことは山のようにあって、私の制服に入っている小さなメモ帳はすぐに仕事内容で埋め尽くされた。
自分がお客さんとして来ていた時、スタッフがあんなに事も無げにしていたひとつひとつの作業が、私にとっては本当に難しくて、失敗してばかりだった。


春は入れ替えの季節で、私の他にもたくさんの新人が入ったけど、研修が進むにつれて、一人、また一人と姿を消した。


でも、私は…
辞めない。
絶対に。


いつか、杉下さんみたいになるんだから。


一度、やると決めたことを、途中で辞めるのは嫌だった。

それに、他の人に出来ることを、私が出来ないなんて悔しい。

私はこどもの頃から、負けず嫌いだった。

その性格は今も変わらない。


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