私の好きな人 私を好きな人
居酒屋から私のマンションまでは歩いて20分ほど。

その途中には、スナックや居酒屋がたくさん連なっている通りがあって、この時間はいつもほろ酔いのサラリーマンたちで賑わっている。


『ありがとうございましたー』


店員さんの元気な声がして、居酒屋から若いサラリーマンたちが、四、五人出てきた。


サラリーマンたちが出てきたおかげで、私は蒼太先輩の姿を一瞬見逃す。


あ、やば。


そう思って、サラリーマンの横を通り抜けようとした時、


『お姉さん、一人?』
サラリーマンの一人が声をかけてきた。

『……』

私がびっくりして固まっていると、

『大学生?おにーさんたちと、一緒に飲みに行かない?』
『行こうよ、おごるからさぁ』
サラリーマンに囲まれてしまい、私は泣きたくなった。


< 26 / 108 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop