私の好きな人 私を好きな人
恋をすると、世界は変わる。


翌朝、夏の空を見上げて私は思いきり、のびをした。

恋をしたのは、もちろん初めてじゃない。
今までだって、報われた恋も、報われなかった恋も、いくつかしてきた。

でも、そのたびに、毎回新鮮な別の世界がくるような気がする。


『あー、用意しなくちゃ』
私は時計を見て呟く。

大学が夏休みに入ったので、私はサークルがある日以外は毎日バイトに行っていた。


こっちに来たばかりの頃は、夏休みになったら、すぐに実家に帰ろうと思っていたのに、今ではバイトやサークルが楽しくてついつい帰るのを伸ばしてしまった。


お母さんやお父さんは、一人っ子である私が、それだけこっちでの生活を楽しんでいるのを知って、喜んでいた。


『泣いてかえってくる方が心配だものね』
お母さんは電話でそう言っていた。


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