私の好きな人 私を好きな人
『先輩方、お疲れ様でした!
そして、新入生、我がバレーボールサークルにようこそ!!
それでは、かんぱーいっ!』


先輩たちの掛け声に、私は手にしたオレンジジュースのグラスを隣に座っている女の子とカチン、と鳴らす。


サークルの中には、飲み会やコンパばっかりで、全然活動をしないところもあるらしい。

でも、このバレーボールサークルは、飲み会もするけど、週二回の練習に加え、合宿や練習試合も頻繁に行う。


それを教えてくれたのが、隣に座っている、麻衣だった。

『サークルとは名ばかりで、ヤリモクのとことかもあるんだってさ。』

入部届けを二人でだした帰り道、麻衣は眉をひそめて言った。

『ヤリモクってなぁに?』

私が不思議に思って尋ねると、

『やるのが目的、でヤリモク』

『……』

都会は恐ろしい…
私は、本気で思った。


地方から出てきた私と違い、大学まで電車で30分の実家から通う麻衣は、この大学のことをいろいろと知っていて心強かった。



麻衣に初めて会ったのは、サークルの見学の時。
最初はマネージャー希望の子かな、と思った。
私も、155センチと、バレーボール選手の割には低いけど、同じくらいの身長。
肩までの髪に、ふわふわのパーマをかけていて、かわいい。

私と同じで、中、高の六年間をバレーボールに捧げた麻衣とは、すぐに意気投合し、私たちは迷うことなく入部届けを出した。

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