私の好きな人 私を好きな人
『…そうか、楽しかったか』
店長はそう呟くとニヤリと笑って、
『新谷、仕事が出来る、っていうのはな、ただ作業が出来るのとは違うねん。作業するだけやったら、猿でも出来んねん…。あ、待て待て、猿は言い過ぎたわ。』
私は少し笑ってしまう。
『まぁ、作業なんてもんはな、教えてやったら大体のやつが出来るようになるねん。でもな、それだけやったら仕事が出来る、とは言わんねん。俺らがやってんのは、接客業やからな。』
私は黙って頷く。
『お前は一通り、作業は出来るようになった。でもな、あと足りひんもんがあんねん。何かわかるか?』
私は、しばらく黙って考える。
自分に足りないもの?
何もかもが、まだ足りないように思える。
『…わかりません』
私は正直に答える。
『笑顔や』
店長の言葉に、ハッとした。
『笑顔を忘れずにね』
お母さんの言葉を思い出す。
私、作業に必死になりすぎて、一番接客業に大切な笑顔を忘れていた。
私は手の中の、初心者マークが取れたネームプレートを見ながら、
『私、本当にこれをつけていいんでしょうか…』
店長に聞いた。
店長はそう呟くとニヤリと笑って、
『新谷、仕事が出来る、っていうのはな、ただ作業が出来るのとは違うねん。作業するだけやったら、猿でも出来んねん…。あ、待て待て、猿は言い過ぎたわ。』
私は少し笑ってしまう。
『まぁ、作業なんてもんはな、教えてやったら大体のやつが出来るようになるねん。でもな、それだけやったら仕事が出来る、とは言わんねん。俺らがやってんのは、接客業やからな。』
私は黙って頷く。
『お前は一通り、作業は出来るようになった。でもな、あと足りひんもんがあんねん。何かわかるか?』
私は、しばらく黙って考える。
自分に足りないもの?
何もかもが、まだ足りないように思える。
『…わかりません』
私は正直に答える。
『笑顔や』
店長の言葉に、ハッとした。
『笑顔を忘れずにね』
お母さんの言葉を思い出す。
私、作業に必死になりすぎて、一番接客業に大切な笑顔を忘れていた。
私は手の中の、初心者マークが取れたネームプレートを見ながら、
『私、本当にこれをつけていいんでしょうか…』
店長に聞いた。