私の好きな人 私を好きな人

蒼太先輩の特別

夏休みのほとんどを、私はアルバイトとサークルに費やした。


実家には、結局お盆前後の二週間だけ帰った。


島から出るフェリーに乗って、見送りにきたお父さんとお母さんに手を振る。

ほんの少し、泣きたくなるけど、私は笑顔で大きく手を振った。


一人暮らしをするために、こうしてフェリーに乗った三月の末、私は号泣していたっけな。


今は大丈夫。


だって、蒼太先輩がいるから。


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