私の好きな人 私を好きな人
私と蒼太先輩に変化が訪れたのは、それからしばらく経った月のきれいな夜だった。
私たちは飲み会の帰り、いつものように少し離れて黙って歩いていた。
今日は月がきれいだなぁ。
中秋の名月というやつかな。
私はそんなことを考えながら、月を見上げて歩いていた。
こんなきれいな月の夜に、蒼太先輩と歩いていることが、嬉しくてたまらなかった。
『実家、どこ?』
それはあまりに突然すぎて、私は一瞬、自分に聞かれたのだと分からなかった。
思わず後ろを振り返る。
私の他に、誰かいて、その人に聞いたのかと思ったのだ。
そこには、誰もいない。
私は人差し指を自分に向け、『私?』という意味を込めて首をかしげる。
蒼太先輩は、そんな私を見て、少しあきれたようにうなづく。
『当たり前だろ、お前の他に誰がいるんだよ』
とでも言いたげ。
そっか、今日の飲み会の時、夏休みにした合宿の話で盛り上がった。
私は実家に帰ってて行けなかったけど。
その時に、一馬先輩が、
『紗耶香ちゃん、来年は実家に帰る日があらかじめ分かってたら、日程調節するからね』
って言ったのを聞いてたからかもしれない。
私たちは飲み会の帰り、いつものように少し離れて黙って歩いていた。
今日は月がきれいだなぁ。
中秋の名月というやつかな。
私はそんなことを考えながら、月を見上げて歩いていた。
こんなきれいな月の夜に、蒼太先輩と歩いていることが、嬉しくてたまらなかった。
『実家、どこ?』
それはあまりに突然すぎて、私は一瞬、自分に聞かれたのだと分からなかった。
思わず後ろを振り返る。
私の他に、誰かいて、その人に聞いたのかと思ったのだ。
そこには、誰もいない。
私は人差し指を自分に向け、『私?』という意味を込めて首をかしげる。
蒼太先輩は、そんな私を見て、少しあきれたようにうなづく。
『当たり前だろ、お前の他に誰がいるんだよ』
とでも言いたげ。
そっか、今日の飲み会の時、夏休みにした合宿の話で盛り上がった。
私は実家に帰ってて行けなかったけど。
その時に、一馬先輩が、
『紗耶香ちゃん、来年は実家に帰る日があらかじめ分かってたら、日程調節するからね』
って言ったのを聞いてたからかもしれない。