私の好きな人 私を好きな人
だから、蒼太先輩が、
『それはないわ』

と言った時、少しムキになってしまった。


『ほんとです。生まれて初めて会いました』


『へぇ、生まれて初めてねぇ…』


今思うと、そのニヤニヤ顔は確かに怪しかった。
でも、私の中の負けず嫌いの私が顔を出してしまった。


『賭けてもいいです。ほんとに初めてです』


私はこっちに来てからのみんなの反応を思い出しながら、力強く言った。


『ほんとに俺が初めてだったんだな、お前の島をしってたやつ。』


『はい。』


サークルの友だちも、先輩も、学部の友だちも、バイト仲間も、それに店長だって、面接のときに、履歴書を見ながら『お前、これどこやねん』って言ったもの。


私は自慢げにうなづく。


『学食のA定食な』

『はい?』

『賭けてもいいんだろ。』

『…はい』

『一週間だぞ』

…大丈夫。

『はい』

大丈夫、負けるわけない。



『じゃあ、言うけど…』


私は、ゴクリと唾を飲み込み、蒼太先輩を見つめる。
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