私の好きな人 私を好きな人
『お前の島の人たちは、知らなかったのかよ、お前の島のこと』
……はい?
口をあんぐりさせる私を見て、蒼太先輩はこどもみたいに大きな口を開けて大笑いをしている。
『ちょ…それ、ズルくないですか?私はこっちに来て、初めてって意味で…』
『いや、生まれて初めてって言った!』
『そ、それは、言葉のあやっていうか…』
『お前の負け!』
蒼太先輩はものすごく嬉しそうに私をビシッと指差すと、
『来週から一週間、A定食だからな、忘れるなよ、逃げるなよ』
そう言うと、鼻唄を歌いながら、スタスタと歩き出した。
『う…ウソでしょ…』
私は慌てて追いかけながら、呟く。
蒼太先輩は振り返って、
『賭けるって言ったの、お前だからなー』
とこどもみたいに叫んだ。
蒼太先輩が、私を見て笑ってる…。
私は落ち込んだ振りをして俯いた。
ほんとは、赤い顔を見られないためだった。