私の好きな人 私を好きな人
そうして、私と蒼太先輩は、それから一週間、毎日一緒にA定食を食べた。
もちろん、二人だけじゃなくて、他にも蒼太先輩の男友だちが一緒だったけど。
一度私が、授業が伸びて学食に来るのが遅くなった時は、学食の入り口で腕組みをした蒼太先輩が、『逃げたかと思ったぜ』
と言った。
『あと少しで、呪いのメールを送るところだった』
と蒼太先輩が言うのを聞いて、私はほんとにこの人、大学生なのかしら、と思った。
私のおかずをずっと狙っていた蒼太先輩は、私が大事に取っておいたカニクリームコロッケを、
『嫌いなら俺が食ってやるよ』
と言って、食べてしまったこともあった。
その時は、私は相手が蒼太先輩ということを一瞬忘れて、本気で怒ってしまった。
蒼太先輩は悪びれもせず、『ずっと残ってたから』
と言い訳をした。
やがて、一週間が過ぎた時、私のお財布はかなり寒くなってしまった。
来月は、バイト増やそう…。
私がそう思いながら、お財布をかばんにしまっていると、トレイを返してきた蒼太先輩が来て、
『さやえんどう、本当に一週間ありがとうな』
そう言って、私の肩をポンポンと叩いた。
『さやえんどう…?』
『そう、紗耶香だから、さやえんどう。じゃ、また練習でな。ご馳走さまー』
走り去る蒼太先輩の背中を見ながら、
『さやえんどうって…』
ほんとに…
こどもみたい。
でも
前まで『お前』だったのに。
初めて呼んでくれた名前は、まるで豆みたい、いや、豆だけど、私は嬉しくてたまらなかった。
私は赤くなった頬を、両手で隠しながら、学食をあとにした。
もちろん、二人だけじゃなくて、他にも蒼太先輩の男友だちが一緒だったけど。
一度私が、授業が伸びて学食に来るのが遅くなった時は、学食の入り口で腕組みをした蒼太先輩が、『逃げたかと思ったぜ』
と言った。
『あと少しで、呪いのメールを送るところだった』
と蒼太先輩が言うのを聞いて、私はほんとにこの人、大学生なのかしら、と思った。
私のおかずをずっと狙っていた蒼太先輩は、私が大事に取っておいたカニクリームコロッケを、
『嫌いなら俺が食ってやるよ』
と言って、食べてしまったこともあった。
その時は、私は相手が蒼太先輩ということを一瞬忘れて、本気で怒ってしまった。
蒼太先輩は悪びれもせず、『ずっと残ってたから』
と言い訳をした。
やがて、一週間が過ぎた時、私のお財布はかなり寒くなってしまった。
来月は、バイト増やそう…。
私がそう思いながら、お財布をかばんにしまっていると、トレイを返してきた蒼太先輩が来て、
『さやえんどう、本当に一週間ありがとうな』
そう言って、私の肩をポンポンと叩いた。
『さやえんどう…?』
『そう、紗耶香だから、さやえんどう。じゃ、また練習でな。ご馳走さまー』
走り去る蒼太先輩の背中を見ながら、
『さやえんどうって…』
ほんとに…
こどもみたい。
でも
前まで『お前』だったのに。
初めて呼んでくれた名前は、まるで豆みたい、いや、豆だけど、私は嬉しくてたまらなかった。
私は赤くなった頬を、両手で隠しながら、学食をあとにした。