私の好きな人 私を好きな人
ハナには根性と、接客のセンスがあった。

『お客様が俺の淹れたコーヒーをおいしそうに飲んで、帰っていくのがうれしい』

とハナはいう。

『わかるわかる』

私は頷く。


人が喜んでいる姿を見てしあわせだと感じる。
そういう人は接客業に向いてる、と私は思う。



『俺、ここに何回かコーヒー飲みにきたことがあるんですよ。』

『えっ、そうなんだ。気づかなかった』

『スタッフがみんなめちゃめちゃかっこよく見えたんです。だから、ここで俺も働きたいって、募集もしてないのに、応募しちゃった』


『私もそう。私たち、動機が一緒だね』

私たちは顔を見合わせてにっこり笑う。

ほんとにかわいい子。



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