私の好きな人 私を好きな人
一時間前…
バイト先に早くついた私は、コンビニで買ってきたチョコビスケットを食べていた。
このお菓子は私のお気に入りで、最近は毎日こればかり食べていた。
店長は事務机で漫画を読んでいた。
私はチョコビスケットを食べながら、
『でね、店長。その先輩はね、私のこと、オンナとして見てないんですよ。さやえんどう、とか言うんですよ?ひどくないですか?』
と延々、愚痴っていた。
店長は私をチラッと見て、
『チョコ、ついてるで。口のまわり』
と言った。
そして、その後に、
『お前には色気がない』
と言い放った。
『店長!それ言い過ぎですよ。セクハラですよ!!』
ハナに押さえられながら、私が言うと、
『なにがセクハラやねん。お前みたいな色気ないやつにだけは、言われたないわ』
『またそれ言った!!』
私が地団駄を踏んでいると、
黙って聞いていたハナが急に、
『新谷さん、色気ありますよ』
と言った。
私と店長は、喧嘩をやめて、唖然とする。
ハナは、平然と、
『新谷さん、かわいいし。俺、好きですよ』
と続ける。
『ははは…』
私は笑って、
『ハナ、フォローありがとう』
とお礼を言う。
『お前はまだガキやな。こんなんのどこに色気があるねん』
店長の言葉に、私はまた、
『セクハラ店長!』
と叫ぶ。
ハナはそんな私と店長をニコニコしながら見ていた。