私の好きな人 私を好きな人
『ハナってさ、いつもいい匂いがするね』


ハナをくんくんしながら言う。


ハナはたぶん香水だと思うけど、いつもふわっといい匂いがする。

それは、『ハナの匂い』としか言い表せない香で、優しい甘い香。



『おまっ、それこそセクハラやで。きも…』

店長が少し引いてるけど、私は気にせず、チョコビスケットを食べ始めた。


『一枚、下さい。』


ハナがそう言って、手を出してきたので、私はビスケットを一枚あげる。


『おいしいでしょ?』

私が言うと、

『はい』



ハナがそう言って微笑む。



蒼太先輩は、このビスケット、おいしいっていうかな?


つい、そう考えて、私はゆるみそうになる頬を押さえる。


バイト中は集中、集中。


私は、自分に言い聞かせた。




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