私の好きな人 私を好きな人
『いっぱい仕事教えてもらったのに、ごめんなさい。…新谷さんの右腕になる、って言ったのにね…』
『もう十分…なってくれてたじゃない…』
これだけは、伝えたかった。
ハナは嬉しそうに笑った。
私はその笑顔を見つめる。
もうきっと見ることが出来ないから。
『ハナ…』
『…うん?』
『ありがとう』
『…ううん。こちらこそ…ありがとう』
本当は、ハナに
『辞めないで。もっと一緒に働こう』
と言いたかった。
でも、それを言うと、ハナをもっと悲しませると思った。
『新谷さん…最後に一回だけ…抱き締めていいかな』
大人びた顔をしたハナがそう言って、
ふわり、と私を抱き締めた。
ハナの匂い。
私は目を閉じる。
この先、もし町でこの香水が香ったら、私はきっと、振り返ると思った。
そこにハナはいなくても。
ハナはそっと私の肩を持って、体を離すと、
『もう…店に戻って?俺、見送るから。』
と言った。
私はハナをしばらく見つめてから、くるりと背を向けてそのまま走り出した。
改札で振り返るといつもハナが笑ってくれた。
きっと、今もその笑顔で私を見送ってくれてるんだろう。
私は振り返らず走った。
背中に暖かいハナの視線を感じて。
さよなら
私の右腕くん
『もう十分…なってくれてたじゃない…』
これだけは、伝えたかった。
ハナは嬉しそうに笑った。
私はその笑顔を見つめる。
もうきっと見ることが出来ないから。
『ハナ…』
『…うん?』
『ありがとう』
『…ううん。こちらこそ…ありがとう』
本当は、ハナに
『辞めないで。もっと一緒に働こう』
と言いたかった。
でも、それを言うと、ハナをもっと悲しませると思った。
『新谷さん…最後に一回だけ…抱き締めていいかな』
大人びた顔をしたハナがそう言って、
ふわり、と私を抱き締めた。
ハナの匂い。
私は目を閉じる。
この先、もし町でこの香水が香ったら、私はきっと、振り返ると思った。
そこにハナはいなくても。
ハナはそっと私の肩を持って、体を離すと、
『もう…店に戻って?俺、見送るから。』
と言った。
私はハナをしばらく見つめてから、くるりと背を向けてそのまま走り出した。
改札で振り返るといつもハナが笑ってくれた。
きっと、今もその笑顔で私を見送ってくれてるんだろう。
私は振り返らず走った。
背中に暖かいハナの視線を感じて。
さよなら
私の右腕くん