私の好きな人 私を好きな人
ハナの不在は、結構な痛手だった。


店的にも、
私的にも…。


クローズ作業をしてる時に、何回か
『ハナ!』
と言ってしまうことがあった。
そのたびに、私はハナがいないことの穴の深さを思い知った。


店に鍵をかけて、もう一人のスタッフと、
『お疲れさま』
と声をかけあう。


駅まで一人で歩きながら、私はぼんやり月を見上げる。


私が…
ハナを好きだったら、今も二人でこの道を歩けたのかもしれない。

一緒に働いて、笑っていられたのかもしれない。


でも、悲しいくらいに、私が好きなのは、やっぱり蒼太先輩だった。



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