私の好きな人 私を好きな人

あの人へ

気がつくと、私はスマホを取りだし、ダイヤルしていた。


『もしもし…?』

その声が電話越しに聞こえたとき、私は電話で話したのは初めてだったと気づく。



『もしもし…』


『さやえんどう?』


『はい…』


『…どした?』

『蒼太先輩…』

『…ん?』

『バイクに…乗せてくれませんか?』

『今から?』

『今から』

『ん、わかった。今から迎えに行くから、マンションの前で待ってて』




スマホをバッグにしまうと、私は電車に乗るために駆け出した。


私はもう逃げたりしない。



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