Strawberry DROP 新連載スタート
「俺にも分からないんだ」

分からないって・・・

男の前でこんなに涙を見せたのは初めて

恥ずかしいけど涙は止まらなかった

上條蓮の香水の香りが息を吸うたび私の鼻にツーンとくる

「お前を・・・お前を見ると体が勝手に追いかける」

「・・・」

ひんやりとしたホームで私は上條蓮の温もりに酔い潰れていく

でもこのままではいけない

「もう・・・近寄らないで」

上條蓮の腕が緩んだ隙に体を離し、私は目をギュッとつぶって顔を見ることなく、駆け出した

上條蓮が追い掛けてくる足音は聞こえない

今どんな顔をしている?

気になるくせに振り向くことができなかった

これだけ突き放せば、もうちょっかい出されないよね

そう思っているのにさっきより涙が出るのはきっと・・・

でもこの気持ちがなんなのか私は認めたくなかった




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