薫子さんと主任の恋愛事情
もし麻衣さんの言っていることが正しければ、私の態度やしていることが大登さんに影響してる?
二次元相手にしか恋をしてこなかった私に“女の魅力”を求められても困るけれど、だからと言って女であることを怠っていいというわけではない。でもよく考えて見れば大登さんの優しさに甘えてしまっていて、そこまで気が回っていなかったような……。
颯のことだってそう。大登さんが『颯がいてもいい』と言ってくれたことを素直に受け止めてしまって、いまだにブロマイドを持ち歩いている。片付けようと思っていたのに、家に帰れば颯をはじめ二次元のキャラクターたちがお出迎え。
大登さんはまだ我が家に来たことはないけれど、あの状態を見たらドン引きかも。
「麻衣さんの言葉を参考にして、ちょっと考えてみます」
「早めに結論出したほうがいいよ」
麻衣さんは私のおでこをツンッと小突くと、自分の席へと戻っていく。
現実世界での恋のノウハウがない私の頭で、どこまで結論が出るかは定かではないけれど。まずは大登さんを我が家にお迎えできるように、部屋の片付けから始めるとしよう。そうすれば、大登さんもきっと私を求めてくれるはず……。
「って私ったら、何考えてるの……」
「なにか言った?」
表に出てしまった私の心の声に、デスクの向こう側から麻衣さんが反応する。
「な、なんでもありません!」
素早くそう答えると、麻衣さんから見えないように身体を丸めた。