薫子さんと主任の恋愛事情
キャップを開けて一口飲むとやっぱり美味しくて、微炭酸が優しく喉を潤してくれる。
「俺にも少しくれる?」
「え?」
大登さんは私の手からペットボトルを奪うと、それをゴクリと飲んだ。大登さんの喉元を見つめ『これって間接キス、だよね?』なんて考えながら、身体を熱くする私ってちょっと変態?
ホントのキスをしてるんだから、今更間接キスでドキドキしなくてもいいのに……。
そう思えば思うほど、大登さんから目が離せなくなる。
「薫子、見過ぎ」
大登さんにそう言われて、自分が大登さんをガン見していたことに気づく。
「み、見てないですから……」
慌てて目線をそらすと、大登さんの笑い声が耳に届いた。
「嘘つき。薫子に見られるなら大歓迎なのに。なんなら今夜、もっと近くで見て見るか?」
「え?」
それって、どういう意味ですか?
目線を戻し大登さんの顔を見ると、その顔は意味深に微笑んでいる。
──薫子に女の魅力が足りないからじゃない?
ふと、少し前に麻衣さんから言われた言葉を思い出す。