薫子さんと主任の恋愛事情
でも大登さんは早く知りたそうにしているし、ここまで言った以上は内緒というわけにもいかなさそうで。
どうしようかと困り果てて俯きかけた瞬間、大登さんの唇が重なり液体が流し込まれた。
「んっ……」
急なことに驚きながらもそれをゴクリと飲み込むと、言葉を失ったまま大登さんを見つめた。
「旨いか?」
「……は、はい」
「悪い。お前を困らせるつもりはないんだけどな。それに……」
それに? それにって、なんだと言いたいのか、大登さんは意地悪な笑顔を見せるともう一口炭酸水を飲んだ。
「麻衣って田中だよな? あいつの言いそうなことは、安易に想像できる」
「そうなんですか!?」
それはマズいと大きな声を出せば、大登さんも可笑しそうに大声で笑い出した。
「わかるわけないだろう、バーカ」
「バカ!? 大登さん、からかうなんてヒドい!」
そう言って大登さんを殴ろうと振り上げた右手は、彼の左腕にあっけなく掴まれる。
「でも、薫子のことはなんでもわかる」
大登さんは声のトーンを落としそう言って真剣な眼差しを見せると、もう一度唇を重ねた。