薫子さんと主任の恋愛事情
「西垣って、二次元好きの真面目でおとなしいだけの女じゃなかったんだな」
「二次元好きって……」
八木沢主任の頬をおもいっきり叩いてやろうと思ってたのに、うまく行かなかったことに加えて私が二次元好きだということまでバレてたなんて……。
腹が立つ!
その上してやったりとほくそ笑む八木沢主任の顔が、私のムカつきを増強させる。
「だからなんだって言うんですか? 誰に迷惑を掛けてるわけじゃないし、八木沢主任には関係ないことです」
私が二次元好きだろうと、本当は口が悪くて男勝りだろうと、そんなのどうでもいいことでしょ。
放っとけ!
ふんと顔をそむけると捕らえられる右手が引っ張られ、次の瞬間八木沢主任の胸に抱きすくめられてしまった。
眉間を触られら、生の男に抱かれるなんて……。
「訴えてやる」
「訴える? 勝手にしろ。でもな、おまえのことが俺に関係あるかどうか、それを今晩教えてやる。仕事はキリの良い所で終えて、夕方六時に第二駐車場の出入口で待ってろ。それまでコイツは、人質として預かっておく」
八木沢主任はそう言うと私の大切な颯を胸ポケットにしまい、席を立つと食堂の出入り口に向って歩き出した。