薫子さんと主任の恋愛事情

「お風呂、ありがとうございました」

ソファーに座り、コーヒーを飲みながらテレビを見ている大登さんに声をかける。

「あぁ。薫子のコーヒーも淹れておいたから」

大登さんはそう言うと、こっちに来いと手招きした。

それはいつものことで、「うん」と頷くと大登さんの隣に腰を下ろす。大登さんが用意してくれた私の分のコーヒーはカフェオレで、ほのかな甘さにホッとする。

「大登さん、お風呂は?」

「ん? ああ、入るよ。でも、その前に……」

大登さんの左腕が私の腰を抱くと、そのまま身体を引き寄せられた。

これもいつものことだけど、今日はいつにも増してギュッと抱きしめられてるように感じるのは私だけ?

抱きしめられながらも顔を上げて上目遣いに大登さんを見ると、ちょっと考えこむような顔をしている。

「なんで、そんな顔してるんですか?」

“言いたいことは言え、聞きたいことは聞け”がモットーな大登さんに、素直に聞いてみる。

「それを言うなら、お前もおかしいよな。なんでメールしてきた?」

逆に問われてしまい、グッと言葉に詰まってしまう。



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