薫子さんと主任の恋愛事情
「今日コルコの身に何かが起こって、とし子さんと何を話したのか俺は知る由もないけど。今一緒にいて、薫子の気持ちは十分に伝わってきた。きっとそれは、薫子も同じだと思う。違うか?」
大登さんの問に、頷いて見せる。
「俺も男だし、好きな女を抱きたいという気持ちは当然ある」
「だ、抱きたい……」
「いいから、最後まで聞け。もう何回もうちに泊まってるし、そのチャンスは何回もあった。でもお前安心しきってるのか、いつも幸せそうな顔してすぐ寝るし。そんな顔されたらおちおち手も出せないっていうか、薫子の寝顔見てるだけで俺も幸せっていうか」
珍しく大登さんは照れたような顔をすると、私をギュッと抱きしめる。
「これからずっと一緒にいるわけだし、慌てることないかってな」
「じゃあ私に、“女の魅力”がないからってことじゃない?」
「何だよ、それ。ああ、田中が言ったのか? ったくアイツは余計なことを。薫子に女の魅力がない? ふざけるなよ、あり過ぎて困ってるって今度言っといてやるよ」
冗談っぽくそう言っているけれど、大登さんのことだから本当に言ってしまいそうで怖い。
だけど、大登さんの本当の気持ちが聞けたことは大収穫。