薫子さんと主任の恋愛事情

「し、しませんっ!」

冗談だってわかっているのにムキになるのは子供っぽいと思うけれど、一緒にお風呂に入るシーンが頭の中に浮かんでしまい、ひとり赤面してしまう。

そんな顔を見られたくなくて後ろを向くと、頭に手が乗せられる。

「いじめすぎたか。ま、そのうち風呂も一緒に入るから、そのつもりで」

大登さんはそう言うと、リビングから出て行った。

「ないわ……」

身体の力が抜け床にペタンと座り込むと、無意識に唇に手を伸ばす。さっきのキスを思い出すと、それだけで胸が苦しくなった。

大登さんが好き──

そのことをハッキリ自覚すると、彼との距離をもっと近づけたいと思う自分がいた。



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