薫子さんと主任の恋愛事情
15.意外な真実
土曜日のショッピングモールは混雑していると予想はしていたものの、その人の多さに圧倒される。大登さんと付き合う前までの私は、仕事以外ほとんど家から出ることもなかったから余計だ。
「で、何を買いに来たんだよ?」
あ、言うの忘れてた。
幸四郎にそう尋ねられて、小さな声でそれに答える。
「大登さんの誕生日プレゼントを買いに……」
その答えを聞いた幸四郎の顔が、見る見る厳しい物に変貌していく。
「大登って、お前の彼氏の名前だよな?」
「そ、そうだけど」
「なんで俺が、お前の彼氏のプレゼントを一緒に選ばないといけないんだ」
幸四郎の聞いたことのないような低い声に、一瞬怯みそうになる。でもそこは想定内。
普段の私なら喧嘩腰で話すところだけれど、相手は幸四郎。おだててその気にさせれば、こっちのものだ。
「幸四郎はセンスが良いから、素敵なものを選んでくれると思って」
相手は兄貴だけど、真っ直ぐ目を見つめてちょっと甘えてみたりする。