薫子さんと主任の恋愛事情
17.これがホントの初体験
大登さんのマンションにつくと、彼がポケットからおもむろに取り出したのは淡いブルーのキーホルダー。ちゃんと使ってくれていることが嬉しくて、大登さんの後ろ姿を微笑みながら見つめた。
「今日連れてくるつもりじゃなかったから、部屋汚れてる。悪いな」
「そうなんですか? それでも私の部屋よりは、きっと綺麗です」
「それもそうだな」と言って笑う大登さんに、頬を膨らませて怒ってみせた。
「怒った顔も可愛いから、そんなことしてもかえって俺を煽るだけだぞ?」
いきなり手を掴まれ玄関の中に引き込まれると、そのまま玄関先でキスされる。でもそれはすぐに離れると、彼の腕に抱きすくめられた。
「何? 抵抗するのはやめたの? さすがに観念したか」
「観念って。さすがに、そこまで子供じゃないってことです」
今までさんざん抵抗してきて何を今さら……と思わなくもないが、今は少しばかり強がりを言うのは許してほしい。
「ふ~ん、子供じゃないんだ。だったら……」
大登さんは耳元で妖しげにそう言うと、私の背中に回されている手を腰へとゆっくり動かし始めた。