薫子さんと主任の恋愛事情
二次元でしか恋ができなかった私に、ぬくもりがある本当の恋を教えてくれた人。時々それは私には刺激的すぎて驚くこともあるけれど、全部私だけに向けられた特別な愛情。
今だって私の手を握りしめ、顔を見上げればとびっきりの笑顔を向けてくれる。
「ん? 何?」
「大登さん、ありがとう」
私も負けないように、最高の笑顔を返す。
「さっきもらった鞄も嬉しかったけど、薫子の笑顔が最高のプレゼントだな。これからもずっと、俺の隣で笑っていてほしい」
再度甘い言葉を囁くと、大登さんは店員がいなくなったのを見計らって私の頬にキスをする。
「大登さん……」
ほんとにこの人には驚かされることばかり。それでも彼のそばにいたいと思うのだから、私も少しは大人になった証拠だろうか。
目線を下げれば、私の右手はずっと大登さんの左手に繋がれたまま。囁かれる言葉とともに、暖かさを分け与えてくれている。
私と大登さんの恋はまだ序盤。
まだまだダメな私だけど、大登さんに隣が似合う女性になれますように──
左手の薬指に光る指輪に、そう誓った。