薫子さんと主任の恋愛事情
私の反応を面白がって、次から次へと畳み掛けてくる大登さんにぐうの音も出ない。力なく両手を広げ負けを認めると、大登さんは私の左手を取り自分の顔の前に持っていった。
「指輪、ちゃんとはめてるんだな」
「当たり前じゃないですか」
大登さんは嬉しそうに微笑むと、その指輪にチュッとキスをする。
本当のことを言うとサイズ直しが終わり手元に届いた時、大登さんからもらった大切な指輪に傷がつくのが嫌で箱に入れたまましまっておいた。でもそれを知った大登さんが、
「俺のものって証だから、毎日はめておけ」
なんて恥ずかしげもなく言ってのけて、半ば強制的にはめられてしまった。
初めて会社にはめていった日はそれこそ大変で、多分そうなるだろうと思っていたけれど、いち早く麻衣さんに見つかって小一時間尋問攻め。根掘り葉掘り聞くもんだからヘトヘトになってしまったけれど、最後は「幸せにね」とギュッと抱きしめてくれて会社で泣いてしまったことも今ではいい思い出だ。
そんな指輪も、今ははめていないと落ち着かない。そして左手の薬指にキラキラ光り輝く指輪を見ると、自然と笑みがこぼれた。