薫子さんと主任の恋愛事情

大登さんを絶対に離したくない──

改めて、そう思う。

私の恋は、確実に動き出す。

大登さんは私の二次元好きをやめなくていいと言ってくれたけれど、その言葉に甘えてばかりではダメ。私も大登さんに見合う女性になれるように、もっと成長しないといけない。

「何考えてるの?」

やる気が漲ってきて、つい身体に力が入ってしまった。どうもそのせいで、険しい顔をしていたみたいだ。

「大登さんを幸せにしてあげたいなあと思って」

そう。愛をもらうばかりでなく、私からも愛を届ける。

でも大登さんは、首を横に振った。

「違うよ、薫子。それを言うなら、“ふたりで幸せに”……だろ?」

大登さんは頬に手を添え、柔らかいキスを落とす。

「これからだから。焦る必要も頑張りすぎる必要もない。ふたりのペースで歩んでいこう」

その言葉は私の心にじわっと染み込んでゆき、大登さんの胸に顔を寄せると小さく頷く。


二次元好きの私に愛を注ぎ込み、大登さんは私の心をあっという間にあなたでいっぱいしてしまった。でもそれが少しでも溢れたら、その甘い唇で、そのしなやかな指で、私の心をまた満たして下さい。

そして私は大登さんの隣で、大登さんの大好きな笑顔を返し続けます。


左手を高く上げると太陽の陽を浴びて、薬指の指輪がひときわ眩しく輝く。

すぐ横には、指輪にも負けない笑顔を向けてくれる大登さんがいて。

いつまでもそばにいて欲しい──心からそう思った。


おわり



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