姫は冷血王子の所有物
「さて、騒がしいところは早く抜けた方が身のためだね。行こうか?」
「あ、はい。」
苦笑しながら、原田先輩の提案に従って、逃げるようにその場を立ち去る。
全く…これだから、恋愛事はめんどくさい。
自分たちの部署に着くと、今度は同僚たちが私たちに近づいてくる。
「夏実と姫歌!あんたたち、何羨ましい人たちと食事してんのよ⁉︎」
「え?」
はぁ…来たよ。この展開。
別に好き好んで一緒に食事したわけじゃないっての。
この後根掘り葉掘り聞かれるんだろうなぁ。
「お前たち、仕事に戻れ。食事は俺たちが誘っただけだ。」
憂鬱な気持ちでいると、榊原部長が割って入って来た。
「え、でも…。」
それは、部長が誘ったわけじゃ…。
そう言おうと思ったけど、有無を言わせない顔で、私を見る部長。
これは黙っとけってことなんだろうけど…。
かばってくれたのかな?