姫は冷血王子の所有物
「高坂。目閉じろ。」
「へ?!」
いきなり何を言い出すんだと思ったけれど、あまりの真剣な顔に思わず目を閉じる。
「な、何をするんですか?」
シーンと静まり返ったオフィスで、私の声だけが寂しく響く。
「ぶ、部長?何を・・・っいた!?」
突如頭に生じた痛みに、慌てて目を開ける。
そこには、ニヤリと笑った無邪気な部長の姿。
どくんっ。
(し、心臓が・・・跳ねる・・・。)
「これから俺のこと馬鹿にしたら、デコピンだけじゃすまねぇからな?」
にっと笑って、そのまま“おつかれー”と帰って行く部長。
取り残されたオフィスで私は思うのだった。
ーーーあの笑顔は反則でしょ・・・。