姫は冷血王子の所有物
(……本当に俺のこと覚えてねぇのか?)
俺はこんなに想ってるのに、目の前のこいつは俺のことなんか覚えちゃいない。
無論、いつもの怖い鬼の俺は覚えているが。
「なぁ。」
気づいたら声をかけていた。
明らかに動揺したように振り向く高坂。
「…なんですか?」
平然と答えるようにしているのか、若干声が震えている。
「高坂さ、俺に初めて会ったのいつ?」
なんで今更こんなことを聞いてしまうのか。
そんなこと俺にはわからない。