姫は冷血王子の所有物
こんな自分に反省していたからだろうか?
俺の足はつい行かなくてもいい場所へ向かっていたのかもしれない。
わざわざ金山が教えてくれた、あの場所にーーーーー。
「…やべ。本当に来ちまった‥‥。」
気づくと、俺が立っていたのは駅前のカラオケ店。
ここに高坂がいるのかと思うと、そのまま入ってしまいたい衝動に駆られる。
「いや、それじゃあ本当にストーカーだろ…。」
そう思って、慌てて踵を返す。
少し歩き出したところで、また足が止まった。
ーーーー見知った声が聞こえたから。
「え…。いや、あの…。」
困ったような声だけど、俺の知っている愛しい声。
「高坂?」
考える間もなく、俺は振り向いていた。
知らない男に絡まれている、高坂に思わず声をかける。
驚いたようにこちらを見る高坂。
なぜここにいるんだ?という顔だろう。
ただ俺は、高坂に絡む男に怒りを覚えていた。
だからきっと、あんなことをしてしまったのだーーーーー。
翔樹side END