泣き顔に甘いキス
突然、静かなこの空間に低めの声が響いた。
慌てて周りを見て見るものの誰もいない。
「こっちだって、こっち。上」
また同じ声。
声からして男の子。
………誰?
声の主を見つけようと上を向くと……。
階段から身を乗り出している、男がいた。
「………え、類(るい)?」
さっきまで私に頭を下げていた男の子がポツリと呟いた。
「あれ、誰かと思ったら滝川じゃーん」
私の目の前にいる男の子、改め滝川くん。
……今初めて名前を知ったという事は黙っておく。
そして首をグーッとあげて上を見れば類と呼ばれる人。
その類と呼ばれている人は……なんか、すごかった。
ここからでもわかるほどキンキンに輝いている金髪。
そもそも見える範囲では制服の面影はない。
耳には時折光がきらりと反射しているので…ピアスがいくつかついているんだと思う。
バリバリ、私には全然免疫のないヤンキー君だ。
でも顔つきは遠すぎてあまりよく分からないけど……結構整っていると思う。
いや、かなり…相当なイケメンだ。