泣き顔に甘いキス
金髪くんは耳についている一つのピアスを軽く指で触れて。
「………ま、それはそれでありだな」
私に向かってそう言ったかと思うと、滝沢くんに向き直った。
「る、い………」
滝沢くんがオドオドしい声を出した。
「滝沢ぁー。夏奈チャン、やめとけって」
ゆるりゆるり、揺れる。
彼のゆるい笑みに、心が揺れる。
"夏奈チャン"
嫌いな名前なはずなのに、心が揺れた。
ゆらりゆらり。
何なのだろうか。
この気持ちは。