泣き顔に甘いキス
「_________愛ちゃん」
一歩一歩彼女のもとに近づき、愛ちゃんの席の前の席に腰掛けて声をかけた。
ゆっくりと愛ちゃんが顔を上げる。
「……あれ。お帰りなさい」
ニコリ、笑った。
「………どこ行ってたの?」
男にしか笑いかけない愛ちゃんは、女では私にだけ笑いかける。
だから、私は彼女を嫌いになれない。
彼女に友達と呼べる存在は、この高校では私しかいない。
「…………呼び出されてたの」
キョトンとした顔をした愛ちゃんを、私はちゃんと友達だと思ってる。
「_______へぇ。そろそろシメなきゃね。バカなバスケ部たちを」
ただもう少し穏やかにしてほしい。