泣き顔に甘いキス
Ⅰ-Ⅲ
「今日の女子の日直は………と。櫻井か。授業中で悪いが、図書館でこの資料の続き今すぐ借りてきてくれるか?」
ぼーっと、黒板に書かれた文字を眺めていると、不意に先生から名前を呼ばれた。
あの金髪くんに会ってから、一週間の月日が流れた。
あの日から………何とも言えないモヤモヤが私の頭に掛かっている。
何かを考えようとしてもふわふわと頭がして諦めてしまう。
常に不思議な感覚だ。
「………分かりました」
ふぅ、とため息をついて立ち上がった。